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浦和地方裁判所 昭和50年(わ)1063号 判決 1977年2月14日

一、本店所在地

埼玉県上尾市愛宕町二丁目一四番一七号

商号

株式会社 悠伸

代表者

代表取締役 柳沢金吉

二、本籍

長野県南佐久郡南相木村二一五一番地

住居

埼玉県上尾市本町三丁目七番四号

職業

会社役員

柳沢金吉

大正一五年三月一八日生

右の者らに対する法人税法違反各被告事件について、当裁判所は、検察官井口衛出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社悠伸を罰金二五〇万円に、同柳沢金吉を懲役一〇月及び罰金二〇〇万円に処する。

被告人柳沢金吉において右罰金を完納することができないときは、金二万円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。

被告人柳沢金吉に対し、この裁判確定の日から二年間その懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社悠伸は、埼玉県上尾市愛宕町二丁目一四番一七号に本店を置き、不動産の売買および仲介等を事業目的とする資本金一〇万円の株式会社、被告人柳沢金吉は、被告人会社の代表取締役として、その業務全般を統轄しているものであるが、被告人柳沢金吉は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、昭和四六年七月一日から同四七年六月三〇日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が五三、七〇万二、三二一円で、これに対する法人税額は一九、四七万二、九〇〇円であるのにかかわらず、昭和四六年七月ころより第三者名義もしくは架空名義の銀行取引口座を使用して不動産取引に関する売買代金の支払いおよび取立てを行ない、売買契約書および領収証等の不動産取引関係書類を全部焼却するなどの行為をなし、所得を秘匿したうえ、法人税の確定申告期限である同年八月三一日までに、同県大宮市土手町三丁目一八四番地大宮税務署において、同税務署長に対し、法定の確定申告書を提出しないで、右期限を徒過し、もつて不正の行為により、右事業年度における右金額の法人税を免れたものである。

(証拠の標目)

一、被告人柳沢金吉の当公判廷における供述

一、第一回公判調書中の被告人柳沢金吉の供述部分

一、被告人柳沢金吉の検察官に対する供述調書二通

一、被告人柳沢金吉作成の答申書四通

一、被告人柳沢金吉に対する大蔵事務官の質問てん末書四通

一、市原忠男、影山一雄、篠原まち子、松井年二、大平宗之助、中沢弘之の検察官に対する各供述調書

一、登記官竹本惣一郎作成の登記簿謄本

一、大宮税務署長高橋茂作成の証明書

一、大蔵事務官田中源一作成の証明書

一、検察事務官作成の報告書

一、埼玉県住宅都市部宅地行政課長作成の捜査関係事項回答書

一、大蔵事務官作成の調査書一一通

一、次の者ら作成の各答申書

片庭萬蔵、渡辺実、大岩弘、横山博、松井年正(但し、二通)、近藤正司、小林利助、赤沢正和、染谷誠一、渡辺平、内田俊雄、瀬戸喜八、原田重治、斉藤与四郎、藤井、横川文明、鈴木一男、横川正義、川上重之、磯山親房、田中きぬ子、酒井昇一、砂永治男、七島利一、砂永与市郎、折原良、田島春次(但し、三通)松井年二、竹内利雄、尾花美智子、田村幸一、田山謙堂、飯野幾男、平石三郎、小田川正夫、長井駿二、矢野賢次、渡辺実、岩浪博

一、松井年正、田村国雄に対する大蔵事務官の各質問てん末書

一、上尾電報電話局長作成の回答書

一、上尾市長、太田財務事務所長、桐生財務事務所長、埼玉県自動車税事務所長、桐生市長各作成の各証明書

(累犯前科)

被告人は、昭和三七年七月一七日浦和地方裁判所で詐欺、横領罪により懲役五年(未決勾留日数一一〇日算入)に処せられ(昭和三八年一月五日確定)、昭和四二年八月一六日右刑の執行を受け終つたものであつて、右事実は検察事務官作成の前科調書によつてこれを認める。

(法令の適用)

被告人株式会社悠伸の判示所為は法人税法一六四条一項、一五九条一項に、被告人柳沢金吉の判示所為は同法一五九条一項に該当するので、被告人柳沢金吉については懲役刑と罰金刑を併科することとするが、同被告人には前記の前科があるので刑法五六条一項、五七条によりその懲役刑につき再犯の加量をし、その期間及び各所定金額の範囲内で、被告人株式会社悠伸を罰金二五〇万円に、被告人柳沢金吉を懲役一〇月及び罰金二〇〇万円に処し、被告人柳沢金吉において右の罰金を完納することができないときは刑法一八条により金二万円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置し、被告人柳沢金吉に対しては情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から二年間その懲役刑の執行を猶予する。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 北野俊光)

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